制作車数1000台超。技術に込められた愛情を。カープラモデルの新しい見方。
モデルフィニッシャーとは、市販されているプラモデルを組み立て、完成させる人。
プロのフィニッシャーとして活躍中の北澤志朗さんは、20年以上のキャリアで、今日まで1000台を超えるカープラモデルを製作してきました。 その作品に多くの人が惹かれ、また模範となっているのは、高度な技術だけが理由ではありません。車に対する深い敬意、愛情、そして手を使って「組み立てる」ことへの喜びが、作品を通して私達に伝わるからです。
「同じ塗料を使っても、北澤さんと同じ色にならない」「テクニックは全て知っているのに、同じ魅力が出せない」ーその作品を見て、多くの模型愛好家が感嘆します。実際、北澤氏は独自の技術を発見しても、共有できるようにすぐに公開してしまうのです。一体なにが違うのか。
北澤氏はカーモデルを組み立てながら、その車の生まれた時代背景を、その車のデザイナーの感性を、そして、その車の技術者達の思いを汲み取ります。自らが組み立てることは、組み立ててきた人達へ謝する行為でもあるのです。技術を超えた真摯な姿勢と精神が、その手から、模型に宿っていくのでしょうか。
北澤志朗さんの制作したプラモデルを、クムデザインのディレクター、岩瀬 慶が写真に収めました。特設したブースの中、模型に落ちる光を柔らかく濾しながら、一台一台と丁寧に向き合いました。模型に込められた「ものづくり」への情熱と愛情を汲みとった写真は、静かに私達に問いかけてきます。
組み立てる とは なにか。
ホビーでありながら、ホビーを超えた芸術性を帯びる北澤氏の作品の数々とその制作姿勢を編集、展示会を開催いたします。美しい車の造形と共に、ものづくりの凄味をご堪能ください。
北澤志朗
SHIROU KITAZAWA
1961年神奈川県生まれ。
模型店店主を経て、1995年よりプラモデラー・ライターとして活躍。 主に車のプラモデルを組み立てる。 模型雑誌の掲載用から企業への協力提供まで、依頼を受けて製作する他、趣味でも製作を続け20年のキャリアで 1000台を超えるカープラモデルを完成させてきた。
著書に「自動車模型の楽しみ方」、「自動車模型 フルスクラッチ編」、「自動車模型製作テクニック集」(新紀元社)。 DVDに「模型道場ライトx2 カーモデルの作り方」(インストーリー)。 雑誌「モデルアート」「モデル・カーズ」にて連載中。模型作例多数。